◆◇六つの紋章をめぐる物語◇◆

創世記

10.土の章 デッサロッサ、地を泳ぐ


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アズヴァーンの息子たち、土の息子と火の息子と水の息子は、風の息子を殺害した時には何時にない団結を見せたものの、その後はまた元の喧嘩三昧の生活に戻っていた。

どうしていつもそうなるのだろう?
余り利口ではない土の息子にはよく分からなかった。
口が達者な火の息子が生意気を言うのに苛々させられる。
取っ組み合いの喧嘩の原因は大抵はそれであるように思う。
しかし、水の息子や土の息子が原因の時もある。
とにかく、毎日下らないことで弟たちと争うのは、もううんざりだ。

そんなわけで、土の息子は冒険の旅に出た。
父の家での、畑仕事と家畜の世話ばかりの単調な生活にも嫌気が差していたので、せいせいした。

土の息子も風の息子と同様に世界の中心の園を目指した。
彼がここに引かれたのは、強い土の精気エレメントの存在を感じたからだ。

彼も風の息子と同じく、世界の中心の園を眼下に望む山の頂いただきに立ち、地平線の果てまで続く山の峰の連なりを見渡した。
そして、にっこりと微笑んだ。
彼にとってはこういう場所こそ望むところなのだ。