ALBUM REVIEW
独断と偏見(ギターミュージックへの偏愛?)のElectric Sheep Land基準によって
選ばれたRockなアルバムを勝手にレビューするコーナーです。

VOL.5
DOCUMENT                     R.E.M.

いまやベテランBandとなったR.E.M.だが、私にとって音楽的な活動のピークは
間違い無く86年〜89年の3部作 「Lifes Rich Pageant」「Document」「Green」にある.

マイケル・スタイプの強力かつ不明瞭なボーカル、ピーター・バックの鋭いギター
マイク・ミルズの手堅いベースと不安定コーラス、ビル・ベイリーの手数の多いドラム。
そのすべてがヘタウマ系でそれぞれが強烈な個性となっていた。
いかにもガレージバンドらしい少し斜めに構えた姿勢、(それでいてストレートな演奏/楽曲)
新鮮さ、アート性、カリスマ性 どれをとっても非常に「ROCK」である.

前作「Lifes Rich Pageant」は 「Begin The Begin」「Fall On Me」などの佳曲を収録した名作で、
今にしてみれば上り調子のBandだけがもつパワーに溢れていた。
映画「ピンク・パンサー」クルーゾー警部の名セリフ「これも人生の素晴らしい一幕ですな.」
をタイトルに引用したアルバムは、歌詞は社会性に富んだものが多いが、曲調はガレージ
ロックの枠にとどまらず、アコースティックバラードあり、妖しいエスニック調あり、とバラエテ
ィに富んだ素晴らしいものだった.

そして本作「Document」リリース.  力強く、繊細で 最高のROCK ALBUMである.
B(sus4)のコードが鳴り響く「Finest Worksong」で幕をあける.
とかくこのALBUMは「It's The End Of The World As We Know It (And I Feel Fine)」で
語られる事が多いが、個人的には「Finest Worksong」が80年代のBEST SONGと考えている.
(小手先でヒットを狙ったのか、シングルバージョンには ホーンがミックスされていて
当時笑ったが.)
そして「The One I Love」.シンプルな歌詞を、熱にうなされたように繰り返すこの真摯な
気持ちを表現した曲がスマッシュヒットを記録する。プロモビデオからして カルトで
アーティスティックな匂いをプンプンさせていた。

この頃のプロモビデオ集はそれはもう 妖しい雰囲気で、とにかく「ふつーのBand」では
なかった。とにかくかっこいい!何しろバンド自身の演奏シーンがほとんど無い!
実際のLIVEでも凝った映像を バックに流していて 来日公演に行かなかったことが悔やまれる.

ピーター・バックがRickenbackerをメイン使用していたのはこの頃まで.
以後 レスポールSTDの割合が増していく.

88年末には次作となる「Green」がリリースされる.ALBUMのタイトルが「グリーン」、
ジャケ色はオレンジ、そして(ベトナム戦争で大量使用され未だに社会問題となっている)
枯葉剤の曲「Orange Crush」とまあ、この意識、センスに脱帽.
作品としては全体にPOPでひねくれ、かつキャッチ−になり 出来映えとして申し分無い.
全てがうまくいって 熟していた.メジャー移籍したこともあって 積極的なプロモが行われ
セールス的にも成功をおさめる.

が個人的にはR.E.M.はここまで. 次作「Out Of Time」のドンヨリした感じについていけず、
(自分がBandで演ってみたいと思う曲がなかった) 聴かなくなってしまう.
というか どうにも聴けなくなってしまった。

そしてとどめは94年「Monster」.カート・コバーンの死に影響された暗い内容も頂けないが、
太りに太ったピーター・バックを見た瞬間、  私のR.E.M.は終わった.
(宅配ピザばっかり食って、ワインばかり飲んでいたそうだ.そりゃ太るわな......)

私がR.E.M.に求めていたのは独自の感覚で疾走するRock Bandであって、太ってのしのし歩く
オジさんではなかったのだから.

86年〜89年の3作はいまだに良く聴きます.

Lifes Rich Pageant
Green

久々にギター鳴らしながら Lifes Rich Pageant、Document を聴いてみた。
Lifes〜のほうが好きかも知れない。特にギター弾きながらだと。
(2012.2.27追記)
 

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