200605〜12

1226 シナモンの香りのなかで待つ人を欺いているピンクのマニキュア
1223 私の死を問いただす人になるその人の声やわらかに聞く
1212 正しさを主張しながらそれでもと君の心に沿うサシスセソ
1209 風や鳥の声聞こえない朝にはメアリポピンズになれないたぶん
1122 何を詫び赦しを乞うというのだろう朝の光は満ちてゆくのに
1121 鮮血でぬぐいきれない過去を問う細い手首の少女微笑む
1027 塩味のピーナッツ好きになる不思議父の好物だったと気づく
1023 同じ風の音聞きながら咲く花の淡さばかりを弟は問う
1021 飛びたくて背中の羽根を補強する天使はいつもソラヲミテイル
1018 どこまでもメランコリィを運びつつ真昼の電車は泣くように往く
1017 キラキラのシールばかりをあつめてくすんだ教室かざられてゆく
1015 ココロにはポキリと冷たい音がしてアシタノアサニワナニガカワルノ
0611 輝いていた日の中に閉じこめる私自身というおろかさ
0526 グラビアの少女のように虹を見る新しい朝くりかえすだけの
0520 同じ名のちがう呼び方とまどって君の目を見る恋をしていた
0511 正しさを否定しながら前髪の長さ気にしている夏の少女
0509 君をまだ許せないまま眠れずに「ジュピター」第一楽章のなか
0507 桃色の花びら揺らす風のおと母は昨日とちがう目をする
0504 西陽射す図書館に立ち現実を逃避したがる少女が笑う
0503 「ジョウホウ?めざしています」真っ青な日曜の空に馴染まぬ疑問符